極限作業ロボット3
この変化で副次的に現れた社会問題が90年代に起き始めたパワーショベルを使ったATM強奪事件だ。平成2年以降にパワーショベルの操作ができる人間が爆発的に増えたにも関わらず以前の動かせる者が少ないからとの理由で緩い防犯をしていた事業者が多く、盗んだパワーショベルで事件を起こせたのだ。警視庁は頻発するユンボ犯罪に対し特車二課を編成した。通称パトユンボ部隊の誕生……にはならなかった。事業者に防犯をさせるだけであっさり事件の数が激減したので。
極限作業ロボット2
さて、現実の世界ではロボットが重機と入れ替わったかと言えば、そうはならなかった。繊細な手足、高価なコンピュータは重機として使えない。油圧のアームと履帯が2024年時点でも最強なのだ。極限作業ロボットは商品にならなかった。
同時期に国と重機の業界団体では別の計画が動いていた。
https://www.taiyokenki.co.jp/rental/tidbits/post_12.html
パワーショベルの操作系の標準化だ。パトレイバー世界におけるHOSみたいなものだと考えるといい。これで今まで何種類もあったのが1つ操作方法を憶えるだけでどこのメーカのパワーショベルも操作できるようになった。また、アタッチメントをつければパワーショベルの遠隔操縦化も簡易に可能になり、今まで危険で人の搭乗した重機では入れない場所でも作業が可能になった。
極限作業ロボット1
パトレイバーthe movie冒頭で要素技術は80年代(つまりアニメ制作時だ)に開発されってセリフが出てくるけれど、リアルで重機に替わるロボットを開発する計画が行われていたのだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%B5%E9%99%90%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesj1959/34/12/34_12_1108/_pdf
http://rraj.rsj-web.org/atcl/1546
https://www.hitachi.co.jp/rd/research/mechanical/robotics/history/1990.html
四本脚のに関してはボストン・ダイナミクスのにできる事はたいていできた。ただ昔のこと故に駆動系が大きいからボディも大きいのと、コンピュータがとんでもなく大きいのでケーブルを引っ張って歩いていた。余談だけどエヴァにケーブルが付いてるのは明らかにこの影響だ。ともあれこの研究を見学したヘッドギア(パトレイバー原作スタッフ)は重機が大型ロボットと入れ替わった社会を着想しパトレイバーと言う作品が誕生したのだった。
40年くらい前に原子力事故なんかも含めた過酷な環境下で作業するロボットの開発が国主導で行われたんですよ。極限作業ロボットって試作機まで開発されたんですね。製品化はされずその後も細々と研究が続けられていた試作機が福島第一原子力発電所事故で投入されたりしました。あまり役に立ちませんでしたけど。それよりもその後の10年の構成要素の技術の発展
・希土類元素電動機で駆動系が小型化できた
・マイクロエレクトロニクスの進歩でコンピュータを内装し、かつ素早い動作ができる様になった
・リチウムイオン電池の登場で動力を内蔵できる様になった
・CADと3Dプリンタの飛躍的な進歩でフレームを小型化できた
このへんのおかげで海外で競って類似のロボットが製作され、いま一番役に立っているのがウクライナの戦場……。
以下再掲
闇バイトを良いことに人権侵害3K労働をさせられる回
#いろいろな回
JH1→HT81S→NCP131→JW5→ZC33S & L235S
発作マグナキッド