鉄道交流電化黎明期にも、商用周波数かそれに近い交流電化の志向はあった。それは20世紀初期まで辿ることができる。
高周波数の単相交流電化の最初期事例は、墺のシュトゥバイタール鉄道かと思われる。同鉄道は1904年8月に開通した地方鉄道で、インスブルック近郊のリゾート地行き路線になる。
http://forum.strassenbahn.tk/userpix/29_AGStB4aaa_1.jpg
この鉄道は2500V42.5Hzで開通した。まだ25Hzとか16 3/2Hzも試験中の時代である。むろん、水銀整流器の実用化はおろか、真空管もようやく二極管が発明されたばかりの頃である。
営業路線で40Hzを上回る高周波数の単相交流電化は初めてだとされている。むろん、水銀整流器の実用化どころか、真空管の二極管式がようやく発明された頃の話なので、制御としてはモータに工夫が凝らされている。
http://forum.strassenbahn.tk/userpix/29_agstbschlatplantriebwagena_1.jpg
回路図を見てもそれだけでは分からないようだが、この電車に使われたのは反発モータであった。要は始動時に整流子電動機として動かし、速度が上がると遠心力によってブラシを移動し、整流子を短絡して誘導機として動作させる。
https://marubara.sakura.ne.jp/CV-tan6-14.html
電車としては変圧器によって降圧し、更に単巻変圧器で電圧を調整することで、都合6段階で速度ートルク特性曲線を動かすことによって速度制御が可能だというものになる。
https://www.sagen.info/forum/media/personenzug-der-stubaitalbahn.66654/full
要は走行抵抗と、誘導電動機のある回転速度におけるトルク特性値が釣り合うところが定速運転になり、その特性値を現在速度により電圧を選択することで選べる…ということなのだと思うが、あまり実用的な気はしない。山岳鉄道で定速特性が必要だから、この方式の方が有用だということなのか。
いずれにしても、電車の見た目は路面電車が大きくなった地方私鉄にしか見えない。
なんにせよ、始動時は整流子電動機であるとはいえ、常用運転領域で誘導機としての回路であるから、42.5Hzという高い周波数でも、20世紀初頭の技術水準でも成立したのだろうと思える。
https://www.innsbruck.info/blog/de/sport-natur/die-stubaitalbahn-seit-120-jahren-die-schoenste-strassenbahn-der-welt/#gallery-4
この反発モータ、実はごく初期の交流電化では他でも採用されており、やがて低周波数電化と直流電化の普及によって間もなく歴史を終えている。ただしシュトゥルバイタール鉄道は50Hz転換を経て、1983年まで車体側の維持修繕を施されながらも、そのままの電気システムで運転されていた。同年に直流転換され、今ではインスブルック市電と直通してる。
この鉄道、その技術的意義と初期の中欧リゾート電車ということのためか、あちらのマニアによるページが幾つかあるので、メモ代わりにリンクを吊っておくことにする。
https://www.technikmuseum-online.de/homepage_dateien/beitrag_16.htm
https://www.ibkinfo.at/stubaital-bahn
https://www.sagen.at/doku/Sillwerke/Sillwerke_4_Stubaitalbahn.html
反発モータ、日本の鉄道を相手にしていると全然馴染みがないのだが、欧州のほうでは初期交流電化では一時とはいえ方式の一角を占めた時期があり、最近はwikiにもその記述が載り始めている。
黎明期の商用電源周波数、バリエーションが豊富。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Utility_frequency
大江戸線の場合どこに退避するんだろう?
地上標高が高そうな放射部でも、サグになってるところは浸水すると危ない気がする。
https://x.com/toeikotsu/status/1940323306546372916
Radio-aktivitätで一番好きかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=YK79C6uMhBM
甲種回送用のブレーキつなぎ図??
改造への躍動
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