If you can’t explain something in simple terms, you don’t understand it https://kottke.org/17/06/if-you-cant-explain-something-in-simple-terms-you-dont-understand-it
"I really can’t do a good job, any job, of explaining magnetic force in terms of something else you’re more familiar with, because I don’t understand it in terms of anything else you’re more familiar with."
もちろん前提知識含め本質に手が届くところまで突き進むつもりのある人なら「始めは雑でもガイドラインがあれば……」となるかもしれないが、ではここで聞きますが、そのへんのランダムなネット記事を読んで「本質に手が届くまで前提知識含めちゃんと学習するぞ!」となる人の割合は如何ほどでしょうね
解説されている問題の本質を示さずさらっと表面的に撫でているのに、ちゃんと読みやすく解釈できる文章にしてしまっているせいで、読者は重要な情報を全然受け取れていないのに何かをわかった気になれてしまう。
むしろ前提知識がほしいレベルの本質情報を隠したからこそ、人々がわかった気になれるのかもしれないけど。
それがメディアとして望ましい振る舞いだとは思えない
結局 ITmedia NEWS の記事は端的に何が問題だったのか考えていたが、正しく理解するのに前提知識が必要なレベルの話を、大事なことへの言及を避けて表面的にさらった点と、それを読みやすくしたうえで、理解できると思われるような読者層でない人々に向けて提示したという2点が問題かなという結論
というかそもそもタイトルは equality のこと言ってるけど論文の本題って equality の曖昧さを含めてもうちょっと根っこの部分にある問題の分析な気がするし、 ITmedia NEWS の記事の徹頭徹尾等号の曖昧さだけが問題であるかのような書きぶりはちょっと誤解を誘発する (というか実際 Twitter とはてブを見る限りでは誘発していた)
> Once the systems are this mature,
コンピュータツールが進歩して紙の上で論ずるのと同じくらい簡単にコンピュータ上で定理証明をできるようになれば、
> it might be the case that future generations of mathematicians will not have to worry about what people like Grothendieck mean by equality,
将来の数学者はグロタンディークのような人々が equality というとき何を意味していたのかに煩わされる (have to worry about) ことはなくなるかもしれない、
> because the systems will allow us to use the concept the way that it is currently used by mathematicians in practice.
ツールによって、数学者が現状やっているように (曖昧に) この概念も使えるようになっているだろうから。
> 一方で、論文著者であるバザードさんは、将来的には、コンピュータ証明の数学ライブラリが充実することで、数学者が等号の厳密な意味を気にせずに済むようになるかもしれないという。数学者がよく分からず直感的な等号の使い方をしたとしても、システムが理解して不備を指摘してくれるようになるからである。
これも文面的には間違っていないけど何か引っ掛かる要約なんだよなぁ
数学の「=」(等しい)とはどういうことか? 英ICL教授が発表 「コンピュータの登場で定義が曖昧に」:Innovative Tech - ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2406/10/news058.html
この記事で一番引っ掛かっているのは記事タイトルに足された「コンピュータの登場で定義が曖昧に」という部分で、元論文は advanced / modern mathematics で特に曖昧にされがちという話はしているが「コンピュータの登場で定義が曖昧に」なったなどという話はしてないはず。
定理証明支援に落とそうとすることで、もともと含まれていたそういった曖昧さが露呈した、という話だったように原文は読める。