テスト文章2
『こちらマリウス星系第六惑星ワーナイズ管制局です。事前申請との相違はありませんか?』
「こちらカーブ1632。事前申請通りです。」
『分かりました。牽引ビームで捉えますので、ニュートラルのまま進行してください。』
やがて宇宙港から照射された牽引ビームにつかまった軽い衝撃が、小さな宇宙船全体に伝わる。
同時に現在惑星で駆け巡っているニュースなどが受信され、それらがディスプレイの端を都会の喧噪のように流れていく。
「ウーパーパケットの荷物って、どこに持っていけば良いですか?」
『到着予定の102格納庫から、左に150メートル進んだところにパケットルームがあります。』
「わかりました。ありがとう。」
人類が宇宙へ拡散し広大な生活圏を持っても、結局暮らしには大して変わりはなかった。ワープなんてものはなく、相変わらず電波の進みは遅いし、光で通信できる距離も限られている。
わたしは、自分の小さな宇宙船を光に近い速度で飛ばして、星から星へ記録メディアを運び生計を立てていた。地球で大量のデータを送るには、ネットで送るよりディスクを持って高速列車に乗った方が早いという、あれの宇宙版だ。