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ヤリスに試乗して感動した話 

いいクルマはディーラーを出た最初の通りでわかる。そんな学びをヤリスの試乗で得た。
3月半ば、愛車であるヴィッツRSの納車後1ヶ月点検のために近所のネッツ店を訪れていた。事前にヤリスの試乗も同時にしたいと伝えたら快くOKを頂けた。待合スペースで出されたりんごジュースを飲んでいると営業の方がやってきて一言「準備ができましたので駐車場の方へどうぞ」、言われたとおりに駐車場へ足を運ぶとそこにはピンクのヤリスが一台。第一印象はテレビや写真で観るよりもかっこいい。ヴィッツよりも低い車高と後方に行くにつれて低くなっていくルーフラインと室内空間を犠牲にする代わりに長めにとられたボンネットはスポーティで軽快な走りを予感させる。日本仕様は5ナンバーに収めるために全幅を切り詰めたというが、張り出し感を強調したフェンダーはワイドアンドローを効果的に演出しておりサブコンパクトカーにあるまじきどっしりと構えた安定感もある。そして何より少しキツめな表情のフロントフェイスは写真より実物のほうがイケメンだ。どうやらコイツは写真を盛らないタイプらしい。

ヤリスに試乗して感動した話 

先代にあたるNCP131ヴィッツのオーナーとしては後席の居住性も含めた室内ユーティリティも気になるところだが、ディーラーの試乗で時間をかけすぎるのも忍びないのでさっさと乗り込むことにした。内装は明らかにマツダを感じさせる複雑な造形でエントリーモデルでも非日常を演出している。複眼メーターはスポーツカー好きとしてはアガる。しかしながら質感のプラスティッキーさが悲しいかなエントリーモデルである現実を思い出させる。今回試乗したのは最上級グレードのHYBRID Zであるが、最上級グレードにすら革やソフトパッドを一切使わないのはトヨタならではの容赦なさを感じる。あえて言うならばこのクルマはデミオの猿真似ではなく、トヨタ車として別の使命が与えられてると感じられるポイントか。

ヤリスに試乗して感動した話 

さて初ドライブだ。各方面で絶賛されているヤリスだが所詮はトヨタ車だ、ドライバビリティに過度な期待は禁物と舐め腐っていた。が、それは大間違いだった。アクセルを踏み込んで私はたまげた。自分の狙った速度まで意志通りに加速、保持ができるのである。と感動していたら目の前の信号が赤になったのでスッと左足でブレーキペダルを踏み込む。ここで第二の感動ポイント、なんとブレーキの踏み込み量が一発で決まったのである。停車位置もドンピシャ、ド派手なガックンブレーキで同乗者を苦笑させることも見事回避できた。私は普段MT車に乗っているのでブレーキは右足で踏むのだが、AT車に乗るときは左足ブレーキを使うよう心がけている。そのため初めて乗るクルマ、感覚が少々鈍った左足のコンボから繰り出される超絶ウルトラスーパーガックンブレーキを一発目でかまして同乗者を苦笑させるのが試乗の恒例行事だ。

ヤリスに試乗して感動した話 4 

今までのトヨタ車といえば違和感のあるペダル配置、軽すぎて踏力コントロールのしづらいアクセル、少し踏んだだけでもドーンと効くバカなブレーキとクソな操縦性の殿堂であった。ちなみにこれらは全てNCP131にも当てはまる特徴なのでこの時点で私は死にたくなった。ヤリスは前述のネガを見事乗り越え素晴らしい操作性のペダル類を手に入れたのである。自然に足がおけるペダル配置、適度な重さのアクセル、踏み込み量に応じて漸次強さが増していくブレーキ、これらの絶妙な調整ができたクルマこそドライバーが身体の一部のように自在に操れるクルマであり、結果的にそれはファン・トゥ・ドライブとドライバーの疲労軽減という大きなご利益をもたらすのである。しかし、多くのクルマ嫌いのユーザーは目先のラクさを求めてだらしない姿勢で運転できるドライビングポジション、バカみたいに軽いペダルとハンドル、少し踏めばドーンと効く強いブレーキを好む傾向にあり、トヨタはそんな低い欲望を長年拾い続けて業界トップに君臨し続けてきた歴史的背景がある。

ヤリスに試乗して感動した話 5 

ハンドリングに関しては低速の街なかでの試乗であったこともありバカみたいに軽すぎるハンドルが多少なりとも改善された程度しか確認できなかった。ヤリスのようなリヤサスペンションにトーションビームを採用する車のシャシ性能の真価を見極めるなら峠の下りや高速道路の直線を走るのがわかり易い。別の機会にレンタカーを借りて長距離ドライブで確認してみたいと思う。

ヤリスに試乗して感動した話 6 

あのトヨタが意識高い系になったきっかけとは何だろう。一つだけ心当たりがある。ヤリスの乗り味は以前試乗したMAZDA2ことデミオに似ていた。ヤリスで味わった衝撃体験は以前デミオで味わったそれの再現と言ってもいい。現行50プリウスが登場したときもアクセラハイブリッドの影響を各方面で指摘されたが(私はそうは感じなかった)、ヤリスではそれがより露骨になった。厳密に言うならば、MAZDA2の乗り味そのままによりカジュアルなキャラクターに振っているので先代DEデミオのリメイクなのかもしれない。しかし、マツダの猿真似に終始しない一面も垣間見られた。今回試乗した車両はハイブリッドである。あの感動的な加速はモーターのリニアな出力特性が一役買っていたことは確かだし、ハイブリッド特有の減速~停車にかけての違和感も見事に打ち消されている。トヨタのお家芸であるハイブリッド技術を走りの良さに転化することに成功したのである。もちろんこれらに関してもマツダの指導がなかった訳ではないが、こういったコラボレーションが実現したのもトヨタの節操の無さがプラスに働いたとも言える

ヤリスに試乗して感動した話 終 

結論に入るが、いいクルマを知りたいならヤリスとMAZDA2に乗れ。サブコンパクトカーという手軽な大きさ、価格で「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本をキッチリおさえたこの二台は良いベンチマークとなるはずだ。

ヤリスに試乗して感動した話 終 

@nezuko_2000
ありがとうございました!
ヾ(๑╹◡╹)ノ"
読み応えありました!

ヤリスに試乗して感動した話 終 

@munyumunyu そう言っていただけて光栄です
書いた甲斐がありました

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