文章を書き始めるために大切なコツ
文章を書くコツの1つとして、自分の中にいる「検閲者を眠らせる」があります。
自分が何か文章を書こうとするときに、書こうとしていることや書いたことに対して文句を言ってくる存在を黙らせるのです。
最終的に書き上げた後、文章を他の人の目にさらす前のタイミングでは、この「検閲者」は有効です。でもそれは、あくまでも書き終えた後の話です。
まだ何も書いていない状態で、自分が考えていることを紙の上に書き始めるタイミングでは「検閲者」の存在は非常に大きな邪魔になります。
まずは、自分の頭の中にある考えや、心に思っていることや感じていることを紙の上に(あるいはエディタの上に)出力することが何よりも大事なのです。
頭の中で考えているものは、いわば雲のように浮かんでいるだけであって、特定の形になっていません。形になっていなければ、それが良いものなのか、悪いものなのか、適切なものなのか、不適切なものかの判断はとても難しくなります。
ですから、まずは、書いてみること。形にしてみること。固定させること。それがとても大切なのです。
いったん形にしてしまえば、その文章を突きはなしてよく見ることができます。頭の中にある状態では、突き放して見ることは難しくなります。
1つの考えを頭の中で練っている間は、自由自在に形が変化します。そのこと自体は悪くありませんが、良し悪しを判断したり、もっと適切な形にするのにはいささか不便です。ですから、まずは書くこと。そしてそれを妨げるものは、取り除いておく方がいいのです。
便宜上、先ほどは自分の中の「検閲者」と言いましたが、これは「編集者」の場合もありますし「批評家」の場合もあるでしょう。どのように呼ぶかは大きな問題ではありません。自分の頭にあるものを書き出すのを妨げる存在には、まずは眠っていてもらうのが良いのです。
逆の考え方もあります。つまり「何でもいいからどんどん書いてみようよ」と無責任に励ましてくれたり、褒めてくれたりする存在は、最初の段階では歓迎しましょう。
「これはいいよ。面白いね。まずはどんどん書いてみようか」のように盛り上げてくれる存在は貴重です。理屈があってもなくてもいいのです。お祭りを盛り上げるお調子者のような存在に登場してもらって、自分の中にある考えを書き出すための励ましをもらえるのであれば、とても有効です。
文章の最終段階になってきたら、そのお調子者には眠ってもらう必要があるかもしれません。そして逆に厳しい目つきの検閲者や編集者に目を覚ましてもらったほうがいいでしょうね。
もっともそこまできたら後は各人の自由にすればいいことです。形になったからこそ、様々な具体的検討ができるのです。そしてそこまで至るには、自分の頭や心にあるものを外に出す第一歩がとても大切なのです。
お酒と同量の水を飲むのよ