国鉄80系気動車のDARSブレーキについて読んでいるのだが、分かったようでわからない部分が残る。

これの要目は、補助空気ダメ圧力を制御弁を介さず、電磁弁を介して直接に中継弁へ導入することで各車動作の同期性と俊敏な動作を目的としているわけだが、常用制動時は補助空気ダメ圧力の方がBP圧力に先行して下がるので、制御弁は弛め込め位置のまま動かない。

むろん、そのままでは制御弁内で中継弁と排気管が連絡してしまうので、S切換弁を間に挟んでいる。このS切換弁は電磁作用を持たない機械式の弁で、他の電磁弁の入切で受動的にその通路を切り替え、中継弁ー制御弁の通路を切ることでBC圧力の排気を防ぐことになっている。

ここまではよいのだが、常用ブレーキをかけ始めて圧力を維持する時に保ち位置(全車保ち作用)に置いてはならない、と書かれている。その理由が、釣り合いピストンが動くので階段弛めでの小刻みな弛め指令に支障を来すから…らしいのだが

補助空気ダメ圧力がBP圧力に先行して落ち、制御弁が弛め込め位置で動かないのであれば、重り位置であれ保ち位置であれ同じことで、何なら保ち位置であれば補助空気ダメにBPから圧力を込められるので、再制動の観点からするとむしろ良いような気がするし、階段弛めの場合は実際、保ち位置と弛め位置を使って行えとなっているのだが…

@AncientCapital JREA 1960年6月号の解説記事には、「保ち位置から繰り返しブレーキを使用するとBC圧力が過上昇気味となる」とありました。
保ち位置だとBPが込められ、結果的にARの圧力も回復するはずで、そこから再ブレーキすると重なり位置から再ブレーキした場合に比べてBCが圧力上昇しやすいのでは(何度も繰り返すとBC~BPに漸近?)と想像してます。根拠は薄いですが・・・。

@[email protected] BC圧力源であるAR圧力がより高まるので、常用ブレーキ位置におく時間が同じでもBC圧力がより高くなる、ということですか。分かるような気はします。

が、BC圧力は計器で見ているんではないのか?というところと(他車との慣例でいけば、釣合空気ダメとかBP圧力自体を見ているから…なのか?)、釣合ピストンが動くというのは結局何なのだろう、というところが残りますね…

釣合ピストンが動くと書いた筆者は、制動操作の最中に電磁弁が停電状態になる場合の想定でもしているのかと今思いましたが…

@AncientCapital 試験中にそういう事象が確認されたので留意が必要、という程度の意味合いなのかもしれません(繰り返しブレーキでのBC過上昇)。

「釣り合いピストンが動く」のは確かに謎です。
常に弛め込め位置をとっていないと、作用空気室が排気できなくなってしまうので・・・。

一つ気になっているのは、ブレーキ作用中にAR(SR)とBPの圧力差はどうなっているのかということです。
極端に離れた値とはならない気しますが、BP<ARだと弛め込め位置のA制御弁を介してBPに逆流が起こりそうで、その時に釣り合いピストンが動いたりしないのか、と思うのです。
JREA 1961年1月号には9両編成を想定したテストラックでのオシログラフが載っていたのですが、それにはBP, BCしか記載されていなかったので・・・。
dl.ndl.go.jp/pid/3255783/1/29

@[email protected] 拝読しました。しょうもないことですが、この試験だと重り→保ち→弛め…と操作していて、弛めの前に短時間ながらBP込めているのですね。

ブレーキ作用中は、ARが先に電磁弁によって減圧し、BPが遅れて減圧するので必ずAR<BPとなり、かつSRはS切換弁で閉止されています。弛め時は電磁弁が消磁するだけなので、普通のDAブレーキと同じくBPからAR,SRに込められます。なので、ここの圧力が逆転することは通常ない…はずです。

実際の弁の応答性はともかくとして、理屈は巧妙ではあります。

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@AncientCapital SR第二通路がS切替弁で塞がるから、ARとSRは遮断されるのか・・・。
この部分はJREAの記事だけではよくわからなかったので、どうもありがとうございます。

階段緩めの直前に保ち位置にしているのは言われるまで気づきませんでした。
というか、階段緩めで保ち位置を普通に使ってますねこれ。JREA 1960年6月号では「階段緩めは重なり-ゆるめ位置の間で行わねばならぬ」となってましたが、どっちが正規の取り扱いなのか・・・。

考え出すと不思議な点も素人目には出てきますが、限られた改造でよくここまで機能を盛り込めたものだと本当に思います。

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