「小泉先生:そこがこの戦争の最も残酷な「構造」の一つです。ロシア軍の戦死者を詳しく分析すると、モスクワやサンクトペテルブルクのような豊かな大都市の出身者は驚くほど少なく、その多くが地方の貧しい地域の出身者や、少数民族、あるいは志願兵として集められた「即席兵士」たちであることが分かります。戦争を動かしているのはエリートたちですが、実際に戦場で命を落としているのは、経済的に選択肢が限られた地方の人々です。そこには明確な「命の格差」が存在します。名前も刻まれず「腕」とか「顎」とだけ書かれた墓標の下に埋められる人々。彼ら一人ひとりに人生があったという事実は、一つの点としてデータの中に埋もれているのです。」