「秀逸なメタネタっつーと、「ぼくらの」でマチが死んだ後、コエムシとウシロが海岸で二人で会話してるシーンだな。 「こういう時ってよ、古いドラマとかマンガだと空に、死んでいった仲間の顔が浮かんだりするんだぜ。洋子の顔、空に浮かんでたりするか?」 と、コエムシがウシロに話しかけるコマ、不自然に空が空白になっている。 ウシロは「バカか?」と返すのだけど、そのページは紙が薄くて、次のページが少し透けている。 そして、次ベージのこちらの世界のマチの顔が、ちょうど先ほどの不自然に空白が多いコマに重なって透けて見えるようになっている。 これによって、「洋子の顔、空にうかんでたりするか?」のセリフとともに、ちょうどマチの顔が空に浮かんでいる構図になっている。 勿論、その事に気付けるのは、読者である我々だけ。 登場人物らはマチの顔が空に浮かんでいる事には気付いていない。実際、コマの内容としては別にマチの顔が空に浮かんでいるわけではない。 ページの薄さ、それによって次のページの内容が透けてしまっている現象を利用したとてつもなく高度なメタネタだった。」