「1930年代のソ連の収容所は、スターリンによる大テロルが終わる1938年11月まで、ユダヤ人によって率いられた。秘密警察のユダヤ人は「スターリンの自発的死刑執行人」9であった。彼らも30年代末までに多くが粛清、処刑されたが、30年代ソ連の強制収容所におけるユダヤ人囚人の割合は、ユダヤ人の人口比より少なかった。というのも、当時はまだユダヤ人に対する民族差別がなかったからである。ところが戦後になると状況は一変し、ユダヤ人の進出に対するロシア社会の反発が表面化し、ユダヤ人に対する「上からの弾圧」が実施されるようになる。」