電動機、モータの回転数というのは色々な条件で制約が入るが、機械的強度や摺動摩耗、回転質量の不釣り合いの面で問題がない場合、整流が原因となって回転上限が決まることが多い。
この上限が幾らというのは形式差も個体差もあって色々だが、電車用の直流電動機の場合、新性能電車のようにばね吊りで衝撃の小さい50~150kwクラスだと5000rpm付近というのが経験的な上限らしく、一時間定格回転数は1200~2000rpmと様々ではあっても運転最高速度でこの回転数以下に収まるように通常は設計されている。
https://www.nycsubway.org/perl/show?2385
ところがGEやWHの初期新性能電車の最高回転数を見ると、カタログ上ではあるが6500rpmとかいう値になっている。GE-1240とかWH-1447とかがそれなのだが、当時の米国製電動機は整流対策が上手だったのだろうか。これら電動機は当時のニューヨーク地下鉄や郊外通勤電車用として数千両以上もの規模で量産されている。
https://drfc-ob.com/wp/archives/112884
新性能電車の設計にあたってこれらを参考にした阪神電車でもかなり意識していたのか、1130号車の試験改造車の記事でもアメリカにおいては6500rpmを最高回転数としているが、という旨の記述がある。
本当に6500rpmも回せるなら、ノッチ曲線如何ではあるが全界磁速度を幾らかでも下げて主電動機の熱容量を緩和する(直接性能に影響が及ばなくとも熱負荷による機械的寿命には影響する)という設計は考慮されてくるだろうし、或いは主電動機容量を小さくとることで電動機の軽量化や価格低減ということも可能にはなる。もっと後年だが、JRE209系などは最高回転数でなく定格電流の切り下げではあるが、実際に主電動機定格出力を小さくすることで価格面での低減を行っている。
実際のところ、日本の工業水準が高くなり電気製品の品質が米国製に対峙し認められるようになってきた昭和40年代後半以降であっても、平成に入るまでも電車用直流電動機での最高回転数は5000rpmから大きく外れない程度の設計が続いた。そのくらいの回転数でも阪急電鉄などの大出力電動機を使う私鉄ではフラッシオーバに悩まされる経験をしていたし、JRW221系の設計に際しては同等主電動機で量産されていた205系よりも歯車比を小さくし、起動加速でかなり過負荷電流となることを容認して最高回転数が5000rpm程度に収まるように設計変更している…
@AncientCapital 電気学会刊「電気鉄道ハンドブック」によると、確かに阪神Jet Carの最大許容回転数は6000rpmと抜きん出ていますね。
一方、こちらのウェブページの表7-13にあるW社1447-A型仕様では、最大安全速度4420rpmとのことです。
7-6表によれば、PCC Car向け電動機(WH-1432, GE-1198)では最大安全速度5000rpmとなっているので、阪神電車はこちらを目標にしていたのかも分かりませんね。
(このサイト、いつもながら著作権的に大丈夫なのか不安・・・)
http://ktymtskz.my.coocan.jp/matuda/m7.htm
@AncientCapital 全容を掴めていないのでアレですが、リンク先の「PCC形電車の普及」節を読む限り、定格100HP、最大安全速度6500rpmの電動機は試作車向けのように思いました。(この節ではGE-1247しか触れられていないが、4-1表のWH-1452-Aもこのプロジェクト用?)
電車用電動機で強制通風というのもいろいろ攻めている気がしました。
@[email protected] その御指摘で思い出して、いまCTAの電車をまとめたサイトを見ていたのですが、WH-1452-Aを装備した電車というのは量産車には見当たらないようですね。(WH-1454-Dというのはいました。1959年以降ですが)
https://www.chicago-l.org/trains/roster/index.html
時期的に6000系の試験車に編入された?6127,6128号車に付けたものか?(6129,6130号車はGEのモータのようです)という気もするのですが、量産車グループと装備機器が異なるということしか分からず…