「で、我々はすっかり朽ちてしまった日本の技術力という事実をすり替え、状況を自分の都合の良い方へ解釈するという「精神的勝利法」によって溜飲を下げることに腐心している。 このような「都合のいい解釈」は、ビジネスの場面のみならず、精神文化や、果ては歴史に関してすら、しゃあしゃあと行われている。 考え方をすり替えるだけで、敗北はたちまち甘美な勝利へと変えることが出来る。そして意気揚々とし、他人の手柄をまるで自分のことのように思って「元気をもらう」御目出度いヤツが後を絶たない。 これはつまり魯迅の描いた『阿Q正伝』の卑屈な世界だ。」